スズメバチのなかま のバックアップ(No.21)


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スズメバチのなかま

ハチの中でも特に怖い、最強、最恐のハチだよね。
分類上は、ハチ目スズメバチ上科スズメバチ科のうち、スズメバチ亜科がいわゆるスズメバチのなかま
スズメバチ科のうち、アシナガバチ亜科はいわゆるアシナガバチ*1
いかにもスズメバチのスズメバチ属と、え?これもスズメバチだったの?というクロスズメバチ属が見られる。
他の属もあるが、一般的に見られるのはこれくらいだろう。

スズメバチ属

  1. オオスズメバチ
  2. ヒメスズメバチ
  3. モンスズメバチ
  4. コガタスズメバチ
  5. キイロスズメバチ
  6. チャイロスズメバチ
  7. ツマアカスズメバチ

クロスズメバチ属

  1. クロスズメバチ
  2. シダクロスズメバチ

実戦的スズメバチの見分け方

スズメバチの見分け方、見分けるポイントはいくつかあるが、実際にフィールドで見分ける方法をここでは伝授する。実戦的な見分け方だ。
例えば、フィールドで、マジマジとスズメバチの顔なんて、普通はのぞき込めないよね。
比較的止まってくれて観察しやすいのは、樹液や花に来ているところだ。
よく見えるのは後ろ姿。そう、後ろから見た場合のチェックポイントを中心にここでは説明しよう。

 

ぱっと見、デカっ!と思ったら、オオスズメバチの可能性、大。

 

んが、ちょっと待った。それだけでオオスズメバチとはかぎらない。

 

まず、季節。
晩春~初夏ならば、女王蜂だ。女王蜂だと、どれもサイズがデカい!
また、晩秋でも女王蜂の可能性がある*2

 

女王蜂でも働き蜂でもオス蜂でも以下の見分け方は成り立つので、季節にかかわらず、以下のポイントをチェックしてみよう。

 

オオスズメバチの次に大きいのがヒメスズメバチ
まずヒメスズメバチかどうか、チェックしよう。

ヒメスズメバチの見分け方

ヒメスズメバチの見分け方は、極めて簡単。
お尻の先を見る。
オレンジと黒の縞模様が交互に来たその先端が黒かったら、ヒメスズメバチ

モンスズメバチの見分け方

ヒメスズメバチでなかったら、次はモンスズメバチかどうか、チェックしよう。
働きバチは小柄だ。
腹部に注目。
お腹の黒い帯がまっすぐでなく、波打ってたら、モンスズメバチだ。
個人的には、ナミウチスズメバチと名付けたい。
黒い帯に、黒い紋(黒い丸)が合わさって波打って見える。
個体によっては、ちゃんと黒い紋が見えることもある。
また、覗き込んだ角度によっては腹部が見えないかもしれない。
両「肩」の部分が茶色いのもモンスズメバチの特徴だ。
それから、夜、クワガタを探しに行ったのに樹液にいるスズメバチは、たいていモンスズメバチだ。
懐中電灯に突っ込んでくることがあるので、注意ね。

コガタスズメバチの見分け方

ヒメスズメバチでもモンスズメバチでないとするとオオスズメバチコガタスズメバチキイロスズメバチだ。
オオスズメバチコガタスズメバチがよく似ている。
いくつか見分けるポイントがあるが、実際に一番簡単なのは、背中(胸部)。
真っ黒ならば、コガタスズメバチ
個人的には、セグロスズメバチって名付けたいくらいだ。
大きめのコガタスズメバチと小さめのオオスズメバチは、本当によく似ている。
だから、背中をチェックすることだ。
ちなみに、背中が真っ黒だからコガタスズメバチだと思ったら、あれ、モンスズメバチだったってこと、今までに何度もある。
背中と黒い帯の両方を確認しようね。

キイロスズメバチの見分け方

ぱっと見、ちっちゃい。黄色い。オレンジっぽい。
そして、飛んでる姿を見て、個人的にはアシナガバチとしばしば勘違いする。
あれ、脚がそこまで長くないぞって違和感で、葉か何かに止まったところを見に行くと、わお、こっちに向かって飛んでくる!こえ~~ってなったら、まずキイロスズメバチ*3

 

腹部に注目すると、黒い帯の部分が少ない。だからぱっと見全体に黄色っぽく見える。

 

お腹に小さな黒い紋もある。しかし、モンスズメバチのそれとは全然違うので、写真を見て間違うことは、まずない。動いている場合は、その小さな紋には気づかないね。あくまで写真判定用。

チャイロスズメバチの見分け方

茶色っぽい。以上。あ、お腹は実際は黒っぽい。オオスズメバチと間違えることはまずないだろう。
実はこーちょーは死体しか見たことがない。

※今年の秋(2021年9月19日)についに見た!

ツマアカスズメバチの見分け方

本物見たことないのでな。
小型で黒っぽく、キイロスズメバチのように、攻撃的なようだ。
長崎県対馬には定着したらしい外来種で、まだ北九州や山口県のほうに分布域が限られているようだ(2020年現在の情報)。
今後、分布を広げていく可能性が高そうだ。
常に情報が更新されていくので、ネットで最新情報にアクセスしてみてほしい。

クロスズメバチの見分け方

小っちゃいので、見なれていないとまずスズメバチと気づかないのではないかな。
かくいうこーちょーは、なんかハチっぽいのがいるな、あ、何か幼虫の死体に来ている?
とりあえず写真撮っておこうとパシャパシャ撮って、そのうち気づく。
あれ、これ、クロスズメバチじゃん。と。
それくらいスズメバチっぽくない。

 

ボディはほぼ黒で、腹部のラインは、バニラ(ほぼ白)。

クロスズメバチとシダクロスズメバチの見分け方

クロスズメバチとシダクロスズメバチの見分け方は、顔をアップで撮っておかないとわからないので、現場ですぐわかることは、経験を積まないと難しいかな。
こーちょーは、いつも事後的に写真判定する。
あ、しまった、顔撮ってなかったと後悔することもちょくちょくある。
で、その見分け方だが、正面から顔を見たとき、白地に黒い矢印が下までつかないのがクロスズメバチ、下までつくのがシダクロスズメバチ。
「しだまでぐろいんだ」って、謎の訛り語呂合わせで覚えておくとしよう。今思いついたんだけど。

オオスズメバチの見分け方

以上、どれにも当てはまらなければオオスズメバチだが、実際には、コガタスズメバチか否かでほぼ、決定。
ポイントは、とにかく、背中(胸部)とお腹の模様。
ヒメスズメバチでもモンスズメバチでもなくコガタスズメバチでもなければ、オオスズメバチだね。
それ以外はオオスズメバチとパッと見も違うので、見なれてくれば、まず間違えることはないだろう。
ヒメスズメバチも背中が真っ黒でないので注意ね。
実際、あ、背中真っ黒じゃない、オオスズメバチだった、うーんでもなんか変だなと思って、よく見たら、お腹の先が真っ黒で、なんだ、ヒメスズメバチじゃないか!ってことは、今まで何度かあった。

図鑑のサイズと見た目のサイズの違いに注意

図鑑など書籍やネットで虫の体長が書いてあり、とても参考になるのだが、実際の見た目はそれよりも大きく感じることが多い。
特に、飛んでいるスズメバチは大きく見える。
そのことは頭の片隅に入れておこう。
図鑑に出ている体長より絶対大きかったよ!ってほかの人に言いたくなることがきっとあるよ。
もう一度、強調しておこう。
飛んでいるスズメバチは大きく見えるよ。

スズメバチの一生

スズメバチの巣、見たことあるかな?
巣の中には、女王蜂、働き蜂、オス蜂、そして、卵や幼虫たちがいる。

 

種類によって巣の大きさはだいぶ変わってくるが、最初の巣作りは越冬した女王蜂たった1匹で行う。
働き蜂が育ってくると、女王蜂はやがて産卵だけするようになっていく。
働き蜂は、全部、メス。働き蜂どうしは全員が姉妹だね。
働き蜂は卵を産まない*4で、一生妹たちの世話をする。

 

恋愛せず、結婚もせず、自分の子どもを作らず、死ぬまで自分の妹や弟の世話をする。
そんな一生、君ならどう思う?

 

実は、働き蜂たちは、お母さんである女王蜂とよりもお姉さんや妹である働き蜂どうしのほうが、血が濃いんだ。
だから、自らの遺伝子をコピーするという生物の生きる目的に照らし合わせると、こちらのほうが理にかなってるんだね。
女王蜂は、名前こそ女王だけど、働き蜂たちにむしろ働かされてるとも言えちゃうね。
寒い冬をたった1匹で乗り越え、初夏になったら単独で巣を作り、卵を産み、幼虫が孵化したら、エサを採ってきて、巣を大きくしつつ、また卵も産んで、娘たちが育ってきたら、あとはひたすら卵を産む…死ぬまで。
これが女王蜂だ。
たった一人で会社を作って、どんどん会社を大きくしていく起業家にちょっと似てるなと、こーちょーは思う。
初期の働き蜂たちは、巣が解散するより前に天寿を全うする。まだ見ぬ妹、弟を知らずに逝くんだね。
秋になると、女王蜂はオス蜂の卵を産む。
実はこれ、メスの蜂になる卵を産めなくなったともいえるんだ。
こうなってくると、巣の解散・崩壊も近い。
次の世代の女王蜂たちも次々に育つ。女王蜂も働き蜂も遺伝子は同じで、幼虫に与える栄養で育ち方が変わるのかな。
ミツバチの場合は、ロイヤルゼリーを与えると聞くが、スズメバチの場合がどうであるかは、こーちょーはごめん、現段階では知らないわ。こーちょーの宿題にしておく。
秋に生まれてくるメス蜂たちは、自分が働き蜂であるのか、来年の女王蜂になるのか、どうやって判断しているんだろうね。
次期女王蜂たちとオス蜂たちはやがて巣を出て、外で相手を見つける。
交尾をしたら、女王蜂は越冬する場所を探し、オス蜂たちは、死ぬ。
交尾ができるオス蜂ははたしてどれほどの割合なのか。
強いオスだけが、次の女王となるハチと交尾ができる。
弱いオスは、メスに殺されてしまうんだ。
働き蜂たちもやがて死ぬ。
女王蜂だけが越冬場所を探し、越冬をする。
小春日和にスズメバチが飛んでいることがある。あれは、越冬場所を探している女王蜂だ。
冬を越せずに死んでしまう女王蜂もいる。
春、十分な暖かさになったら、女王蜂たちは営巣を始める。
そんな女王蜂たちもまた、最後まで生をまっとうできるのは一部。
そんなことが毎年繰り返されている。

確認テスト

問題

以下、6つのスズメバチはそれぞれ何スズメバチでしょうか。
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解答

+  解答は、この左の+をポチッとすると出るよ。

左上:キイロスズメバチ…これはちょっとわかりづらい。ちょっと小さい紋があるね。
中上:オオスズメバチ…背中が真っ黒ではなくて、他の4種の特徴がすべてないね。
右上:ヒメスズメバチ…お尻の先が真っ黒だね。
左下:コガタスズメバチ…背中が真っ黒だね。
中下:モンスズメバチ…紋があるね。
右下:シダクロスズメバチ…黒いボディにラインがバニラ。お顔の黒い矢印が下まできているね。

全部できたかな?
できなかった場合は、もう一度上の見分け方をしっかり読み直そう。

宿題

ところで、なんで雀蜂っていうんだろう。
考えてみよう。調べてみよう。

スズメバチに関する参考書

スズメバチに関する本は、たくさん出ている。
ここでは、1冊だけ紹介しておこう。
『超危険! スズメバチLIFE 図解とマンガでわかる最凶生物 』
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面白おかしく真面目にスズメバチについて学べる1冊だ。

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ありがとう。

*1 アシナガバチについては、アシナガバチのなかまのページを見てね。
*2 秋だとオスの可能性もある。オスは働き蜂とはまたちょっと雰囲気が違う。
*3 アシナガバチがたまたまこっちに飛んでくることもあるが、近くを通過するだけど、どこかへ行ってしまう。キイロスズメバチの場合は、控えめに言って、俺のこと好きなの?って感じで迫ってくる。
*4 女王蜂がいなくなると卵を産み始めるが、生まれてくるのはすべてオスで、やがて巣は放棄される。

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